三神とは比売神(ひめ神)、誉田別尊(ほんだわけのみこと)[応神天皇]、大帯姫命(おおたちひめのみこと)[神功皇后]である。
比売大神は部落国家の地主神であろう。民俗学者の柳田国男氏は「玉依姫(たまよりひめ)考」で次のように言っている。「この玉依姫の別名を存する比売神は、そもそも八幡神の何に当る御方であろうか。八幡と称する王子神の御母、即ち天神(あまつかみ)の御妻と信じて祭り始めたと思って居る。」
仏教的かみである。八幡神がもっとも早く神仏混淆をなしとげた神である。真言密教の不動安鎮法を修する際に立てる八流の幡(はた)から「ハチマン」とよばれた。一般的に神は人間の前に姿を出さない。ところが三神は像として現れているのは仏教の影響である。
第二は民俗学者の説で、宇佐・国東地方に仁聞(にんもん)菩薩信仰が根強く存在するから、仁聞=人母=神母であり、八幡信仰は土俗の母子神信仰を中核とする巫女(みこ)信仰である。つまり八幡の比売神が神母で、神がかりとなって託宣を行うシャーマン(巫=みこ)神=玉依姫(たまよりひめ)である。