田原(たわら)氏は、志賀氏や一万田氏らと並ぶ豊後大友氏の有力庶子家の一つ。大友氏初代能直(よしなお)の子泰広を始祖として、豊後国北部の国東地方に勢力を持ち、大友宗家歴代当主を支え、時には宗家と対立して乱を起こすなど、400年の大友時代の中で極めて大きな力を持つ一族でした。
特に戦国期の当主田原親宏(ちかひろ)は、大友義鑑(よしあき)・義鎮(よししげ)[宗麟]の時期に勢力を強め、豊前・筑前方面の合戦に出陣して戦功をあげる。一時は大友氏をしのぐ力を有しているとされた親宏でしたが、その強大化を恐れた義鎮(よししげ)が田原本家を抑圧。親宏は天正7(1579)年に病死する。跡を継いだ養子の田原親貫(ちかつら)も、翌年、大友氏の後継介入を嫌って反乱を起こし鞍懸(くらかけ)城[豊後高田市]にこもるが大友軍によって陥落。田原氏の嫡流は断絶し、その跡は、大友義鎮の子親家(ちかいえ)が継承する。